『Bパリ〜ロンドンヘ』

何と、客席は日本人の観光客ばかりではないか。興味津々で入ったのに眠ってしまい残念なことをしたが、それより、ノーカットの『エマニエル夫人』を見たい、なんていう、考えることは皆同じかと思うと、苦笑いをしないではいられなかった。オペラ座の通りに日本食街があり、ラーメン屋に入ってビールとラーメンを注文した。喉が渇いていたので日本のビールが美味しかった。ラーメンはとてもまずかった。もう二度と来るか、とその時思った通り、その後何度かパリに行っているが、その店には入っていない。

パリの街中でジュースを飲みたいと思っても、自動販売機はどこにもない。祭りの屋台と一緒で氷水の中に入れて売っている状態である。いかに日本は便利なのか、便利過ぎるのか?やっぱりアメリカナイズしていないヨーロッパの自国に対する誇りなのか、といろいろ考えさせられた。

いよいよ明日はロンドンへと発つ日、半日の自由行動の間、今まで買えなかったお土産を買おうと仲間と一緒に免税店を物色して歩き回った(得する買い方は後日紹介する)。

イギリスにはサンラザール駅からルアーブル駅まで汽車に乗り、そこからドーバー海峡を船で渡らなければならない(今ならユーロスターで一直線)。いよいよ乗船だ。風が強い。案の定風速30メートル強の中出航した。自分はいつも青函連絡船で鍛えられていたので、これしきの揺れでは酒でも飲めば船酔いなどはしなかったが、他のほとんどの人は大変な目に遭っていたようだ。とはいえ、船内に充満する匂いがひどく、約3時間がずいぶん長く感じられた。イギリスの港に着き、そこからロンドンまでまた2時間の汽車の旅。もうあたりは真っ暗だったが、期待と興奮でロンドンに降りた。

ホテルまでバスの乗って気がついた。パリでは道を渡るのに危ない目に遭った。信号は左右を確認して渡るのに、右を見て一歩踏み出す習慣が身に付いているが、突然左から車が来る。その点イギリスでは日本と同じで車は左側通行なので安心して歩けると思いながら、外の灯りを見ているうちにバスはホテルに着いた。治安もいいらしいし、ホテルの中でも変な娼婦らしい姿もない。

その点パリは凄かった。身体の大きな女性が数人、突然部屋に入ってくるなり英語でまくしたてる。よくよく聞くと「一人いくらで・・・・・・」にはさすがに驚いた。それ以来ノックされても用心しながら確認し、それらしき人物であれば即座にドアを閉める。すると彼女たちは怒ってドアを蹴って帰ることがたびたびあった。ロビーでもしつこく付きまとわれるのだが、いろいろ考えた末に追い払う一番いい方法は「アイアム・・・・・・」。そう答えると慌てて退散する。

さて、長旅でよほど疲れた。本場のウィスキーをコップに一杯飲んでベッドに横になった途端、一日は終わった。
                                               (つづく)

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